子ども達に人気の絵本⑬デイビッドがっこうへいく

久しぶりに、子ども達に人気の絵本の紹介です。

いや~、毎年思うけれど学校の1学期は忙しい!!

けれど「この本読んで~」とお願いされることが

1番多いのも、この1学期です。

2学期ぐらいになると、友達と遊ぶのに忙しくなったり

私に読んでもらうのではなく、自分で読みたいという子が

増えたり・・・。

なので、1学期は絵本をたくさん読んであげられる貴重な時。

貸出や問い合わせの合間に読むので、

「次に読んであげるからちょっと待ってね~」とか

せっかく読める時間が取れても、途中の「せんせ~い」という声に

お話を中断することもしばしば。

でもそんな中でも「この本読んで」の声がある限り、

できるかぎり、読んであげられたらいいな。

そんなわけで、今日紹介するのは、この数ヶ月で1番

「読んで~」というリクエストが多かった絵本。

090627_235401  『デイビッド がっこうへいく』

(デイビッド・シャノン/さく、評論社)

「デイビッドのせんせいはいつもいう・・・

いけません、デイビッド!

さわぐのはやめましょう。

ふざけるのはやめましょう。

ろうかをはしるのはやめましょう」

いたずらっ子で落ち着きのないデイビッドは、

見事に、それをやったらぜったいにおこられる!といった

行動をつぎつぎとやらかして、

どのページでも先生におこられてばかり。

たとえばちこくしたり、授業中に席をたって黒板の前でふざけたり・・・。

この絵本を見ている子ども達は、身近によく目にする光景だからか、

デイビッドを見て、同じクラスのだれかさんを思い出すからなのか、

いずれにしろ、おこられているのはあくまでもデイビッドで、

自分ではないということからの安心があるからだと思うのだけど、

とにかく1ページ1ページ読むたびに大盛り上がり。

特に盛り上がるのは、次のページ。

090627_235402 「じゅぎょうちゅう ガムはかまないっ!」

ここを読むと、子ども達は、

「これはいけないよ~」と笑いながら、

口いっぱいに広がるガムの量に大喜び。

090627_235501 「デイビッドよそみしないっ!」

おこられるところでは、

「あっ、さっき○○くんがよそみしていて

おこられたんだよ!」とか、

「ぼく、2時間目の授業のとき、外にいる虫が気になって

ずっーと横向いてたよ」などの告白まで。

090627_235502  それから、1番反応が面白いのは、

「またおてあらい?!」というところ。

だれのクラスにもなぜかよくトイレに行く子が

いるようで、どの子に読んでもいつもここでは

「○○くんもいつもトイレに行くって言うんだよ~」

「○○くんみたい~」という声が上がり、読み手の私も

笑ってしまいます。

そんなしじゅうおこられてばかりのデイビッド!

ばつとうばんとして、放課後、教室のそうじを

させられるのだけれど、終わった後、

090627_235701

はじめて

「よく、できましたね デイビッド!」

とほめてもらいます。

ここは、今まであれこれ声をあげていた

子ども達が不思議としーん、となるところ。

でもきっとこのページがあるからこそ、子ども達は

またこの絵本を読んで、と言ってくるのだろうなあ、と

そんな気がしてなりません。

こちらの絵本は、学校でおこられるデイビッドでしたが、

この絵本より前に、家でおこられるデイビッドバージョンが

出ていました。

090627_235702 『だめよ、デイビッド!』

ここでも、デイビッドはとにかく

おこられて、おこられて・・・

でも最後に、デイビッドにかけられる

お母さんの言葉と行動には、たっぷりの愛情が。

もし自分に子どもがいたら、このページでは

確実に泣いてしまうだろうなあ~。

この終わり方、せつなくてつらくてあたたかくて

胸をぐっとつかまれます。

こちらは、まだ図書室に入れていないのだけど、

『デイビッド、がっこうへいく』を読んだ子たちから

何度もリクエストされているので、近々入れて

また反応を見てみたいなあ~と思います。

さて学校編と家編、どちらが、より人気になるかしら。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ぼくのかえりみち

だいぶ更新をご無沙汰しているうちに、あれよあれよと

6年生が卒業し、新1年生が入学してきて、

あっという間に新学期が始まってしまいました。

今年度からまた気分を入れ替えてテンプレートも模様替えし、

また少しずつ図書室で子ども達と過ごす中で感じたあれこれなどを

綴っていきたいと思います。

たびたびのぞいてくれていた方、しばらく留守にしてごめんなさいでした

今日は、仕事帰りに久しぶりに紹介したい絵本を見つけました。

Photo_3 『ぼくのかえりみち』(ひがしちから、BL出版、2008/10)

実はこの絵本は、おそらく出たばかりの頃、

当時小学3年生だったSくんが私に

「おすすめの絵本があるんだけど!」と言って

教えてくれた本で、ずっと頭に引っ掛かっていたのでした。

しかし、じっくり読んだのはこんなにあとになってしまい、しかも

ものすごーくいい内容だったので、今さらながらSくんごめんなさい!

明日学校に行ったら、すぐに「図書室に入れたよ~」と伝えようと

思います。

さて、みなさんも子どもの頃、この絵本に出てくる“そらくん”と

同じような遊びをしたことが1度はあるのではないでしょうか。

それはこんな遊び。

「きょうは、このしろいせんの うえを あるいて かえろう」

と自分でルールを決めて、このしろいせんから落ちたら

大変なことになる!と思い、必死で落ちないように歩く。

私もよく小学生の頃、学校の行き帰りで、白い線のみならず、

排水溝?の穴だけ踏んで帰るというのをよくやりました。

きっと多くの人が、子どもの頃にやったであろう遊び・・・。

しかしこれを絵本にしてしまう人がいたとは!

まずそのことに驚き、感激です。

さて、Photo_4 学校のかえりみち、“そらくん”は、

「しろいせん」の上を歩いて帰ろうと思い立ち、

途中、工事中のコーンに道をふさがれても

こわい大きな犬に遭遇しても負けずに歩いていきます。

Photo_2 横断歩道だって、ちゃんと白い線から

落ちないように歩きます。

そしてこの絵本のすごいところは、

←横断歩道を渡っているこの絵!

立体的で、本当に落ちたら大変なことになってしまいそう。

そうです、この絵は“そらくん”の心の中(想像)を表しているのですね。

確かに自分も、線から落ちないように歩いていた時、

頭の中では足の下の世界をこんな風に感じていたように思います。

このあたりの表現、すばらしいです。

そして、ついにおうちのそばまで来た“そらくん”

Photo

しかしなんということでしょう!

うちはすぐそこなのに、しろいせんがとちゅうで

なくなっているのです。

ここで、いったいどんな助け舟が???と思っていたら、

それはそれは、見事な助け舟がやってきて、

終わり方がほっこり優しくて、いい気分になってしまいました。

この絵本はもとの発想も良いけれど、なんといっても

この終わり方に私はノックアウトされてしまいました。

ここで種明かしをしてしまうとつまらないので、

気になる方は、実際に本を手に取ってぜひ見てみて下さいね。

明日は3時間目に、4年生を図書室で預かる予定があります。

ふだんは1~3年生までしか絵本を読んでいないのだけど、

明日はこの絵本で4年生への絵本読みに挑戦してみようと

思います。果たしてどんな反応がでるか・・・楽しみです!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

なぜ子どもたちに本が必要なのか。

だいぶ、久しぶりの更新になってしまいました…。

ここ2、3カ月は、ちょっとした原稿や

インタビュー記事などを書いたりして、

また深くこどもと本について

じっくり考える機会を得ました。

その中から、今回は

「なぜ子どもたちに本が必要なのか」

という事についてある冊子に書いた原稿を

1つ紹介したいと思います。

このテーマに関しては、私がこれからの

自分の仕事を通して一生をかけて(大げさ!?)

考えていくことだと思うので

まだまだ未完成というか、不十分なところがあり、

今回も、ある優れた2冊の本を紹介する

という形でしか言い表せていないのですが、

このテーマに関心のある方が

いらっしゃれば、

少し目を通していただければ嬉しいです。

(長文になりますが、お許し下さい)

「本を読むことはなぜ必要なのか」

「なぜ子どもたちに本を読んでほしいのだろうか」

  

こうした問いを、子ども達に本を手渡す立場にいる

自分に問い直す日々が続いている。本を読むことで

得られるもの、その楽しさと喜びを自身では体感して

いるものの、それを子ども達や大人の方に納得のいく

ことばで分かりやすく伝えるのが難しいと

感じるからである。

今回はこの問いを考える上で

非常に大きなヒントを与えてくれ、

さらに深く考える投げかけをしてくれた

二冊を紹介したい。

どちらも、児童文学の評論家、翻訳家であ

脇明子氏によるもので、一冊目は『読む力は生きる力』

(岩波書店)である。著者は冒頭で、

大事なのは本を読むことそれ自体ではなく、

他のことにうまく助けられて成長できれば

それでいいともいえる、しかし子どもたちを

取りまく環境が急速に悪化し、

かつて子どもたちの周囲にあった

「うまい助け」を得ることが

どんどん困難になりつつある今では、

「本を読むこと」との幸せな出会いが

必要であると述べている。

かつて子どもたちの周りには

たくさんの大人たちがいて、昔話や思い出話、

生活上の様々な技術や、動植物や天候についての

知識などを直接伝えてくれていた。

また大人の間に密接なつながりをもつ共同体があり、

そこで子どもたちは生きていくのに役立つ

生活文化にしっかり支えられていたという。

しかしそれが直接的には得られにくくなった今では、

代わりに本から受け継ぐことが必要なのである。

また本書の中で「子どもにとっていい本の条件」

として、人間や世界について基本的に

前向きの姿勢を持つものということが挙げられている。

今の世界で様々な障害物を乗り越えながら

大人になっていく中で生きる気力を保つためには、

心の中に人間に対する基本的な信頼感や

世界に対する愛をあたためなくては

ならないからである。この意見に私も深く共感した。

今生きている目の前の世界が全てなのではなく

違った世界が存在するということ、生きていれば

いつかはそれらに出会えるはずだということ、

それを信じる力、想像力を本は与えてくれる

のである。しかし、だからといって現実逃避を

助長するわけではない。

読書によって養われる想像力について、著者は、

想像力とはその場にないもののイメージを

思い浮かべる能力であるが、

思い浮かべる対象は「もの」だけではなく、

人間の感覚、感情、考えなども対象であるという。

そして想像力はこの先起こりうることを

予測するのにも役立ち、様々な知識や、

倫理的思考力などを総動員して

頭の中に未来図を描き出すことができる力となる

と述べる。時代を超えて世界を超えて、

あらゆる人種、世代の人の生き方や

そこでの様々な考え方や視点を知ることで

寛容さが生まれ、それが目の前にいる相手の気持ちを

考えたり思いやることにつながっていくのでは

ないか。また本の中で、主人公が困難に出会いながらも

乗り越えていくさまを見て励まされたり、

自分が困難に合った時にどう乗り越えたらいいのか、

その道筋を思い描ける力が本によって

養われるのである。本は現実の世界を

生き抜く知恵と力を与えてくれるのだ。

この『読む力は生きる力』をさらに深めて

書かれたものが『物語が生きる力を育てる』

(岩波書店)である。

ここでは、どんな物語をどのように読むのが大きな力に

なるのかといった読書の質に重きが置かれている。

神話や昔話にも言及しながら、その伝統に

新たな要素を加えて発展してきた「物語」の力に

ついて、様々な角度から考察した本である。

あとがきには、本当に大切なのは「本」ではなく、

「本」が作られるようになるよりもはるか昔から

語られてきた「物語」なのだと述べられている。

生きる力を与えてくれる物語に出会うことが

何より大切なのだ、ということである。

子どもたちをどんな物語に出会わせたら良いのか

選ぶ際の指針になり、

またその物語に最終的に出会わせるまでの道筋を

作っていく重要さを再認識させられた。

 (改行が上手くいかず、読みづらい点があることを

  お詫び致します)

| | コメント (0) | トラックバック (1)

今年は、読書の海

楽しい夏休みも終わり、昨日から2学期の始まり。

昨年度の“読書の木”に引き続き、今年は

子ども達からのおすすめ本を何に書いてもらおうか、と

考えているうちに1学期が終わってしまったのですが、

この夏休み中に、うんうんうなりながら、

苦手な制作物に取り組み、何とか作ってみました。

080902_175201_2 今年は、“読書の海”です。

子ども達には、おすすめの本を大小さまざまな魚に

書いてもらい、この海を魚でいっぱいにしてもらおうと

いう試みです。

さて、夏休み明けの図書室第1日目の反応はどうか・・・と

様子をみていたところ、

今日は8枚の魚カードが届きました。

みんなのおすすめ本で、海が魚でいっぱいになりますように。

でも書いてくれるのは、1、2年生の女の子がほとんどなので、

中学年、高学年の子や男の子にも書いてもらえるよう

あれこれ働きかけていこう!と思います。

ちなみに今日、2年生の女の子がおすすめしてくれた本から

1冊、『うさぎ屋のひみつ』(安房直子)をご紹介。

この『うさぎ屋のひみつ』は、

不思議な4つのお話が入った短編集で、

今、1、2年生に一押ししている作品です。

2年生の学級にすすめて読んでもらった事もあり、

今、人気に火がついています。

やはり担任の先生の影響力はすごい!

安房直子さんの書くお話は、不思議なのに加えて

ちょっとこわかったり、ドキっとしたり、

時に人の悲しさやせつなさを垣間見てしまったりする

お話が多いのだけど、1度その世界に入ったら、

次にどうなるのかが気になって

一気に読ませられてしまいます。

今回表題になっている「うさぎ屋のひみつ」のお話は、

結婚したばかりの若いお嫁さんが、

お料理を作るのがどうにも面倒で、だんなさんには内緒で、

代わりにうさぎ屋に美味しい料理を作って届けてもらう

というお話なのですが、その料理と引き換えに、

うさぎ屋のうさぎはお嫁さんに、持っている宝石を要求していきます。

そして、だんだん渡せる宝石がなくなってしまったお嫁さんは

とうとう結婚指輪まで渡さなくてはならなくなるのですが、

その後に、物語が、家事をさぼったお嫁さんが悪い、

といったような教訓めいたものになることは決してなく、

うさぎ屋が逆に大きな痛手を負ったりします。

でも結局はそのうさぎ屋も前向きに立ち直ったりして

何となくめでたしめでたし!?

でも読んだ人の心には、いつも何かしら引っ掛かりが残るのです。

物語として純粋に面白いものを書いている貴重な作家さん

なのだと思います。

さて明日からまた、魚カードにどんな本が紹介されるでしょうか。

楽しみです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

たかどのほうこさんの創作の秘密を知る

先日行われた子どもの本研究会・東京大会にて

絵本と児童文学作家であるたかどのほうこさんの講演を聞いた。

講演のタイトルは「創作を通して思うこと」。

たかどのほうこさんの作品は、

日常生活の中で、ちょっと変わった出来事が起こったり、

不思議な世界に入り込んでいくような作品が多い。

絵本で好きなのは、『まあちゃんのながいかみ』(福音館書店)。

絵本と物語を合わせて50冊ほど出版されている

たかどのほうこさんとは一体どんな方なのだろう?

と胸をワクワクさせて登場を待ったところ、

現れたのは白くて可愛らしいロングワンピースを着て、

髪にウェーブがふわっーとかかった可愛らしい方。

てっきり年輩のおばさまを想像していた私はすっかり

面食らってしまったのだが、略歴を見てみると

お年は50代前半・・・。

とても見えない・・・と驚きつつ、お話を伺ううちに

その若さの秘密が分かったのでした。

それは、たかどのさんが、ご自身の中に

子どもの自分をたくさん持っていらっしゃるから。

子ども心というのか。

たかどのさんは、子どもの頃の事、

それは具体的な出来事や事実ではなくて、

ある場所、ある時間、あるシチュエーションで感じた雰囲気や、

気持ち、思い、キラキラしていた時間などを

よく覚えていらして、それらを作品の中に落とし込んでいるのだそう。

(これらの子どもの頃の記憶は、『記憶の小瓶』(クレヨンハウス)

という本に、面白く記してあるので、興味を持った方はぜひ!)

今回、本当にあれもこれも心にとめておきたくなるような

印象深いお話をたくさんして下さったのだが、

特に記して心にとめておきたいのは、次の3つのお話。

まずはたかどのさんが、意識的に本というものに出会った小6の時の話。

作品は、リングレーンの『カッレくんの冒険』だという。

この作品を読んだ時、たかどのさんはこのお話のすばらしさを

感じると同時に誰かがこのすばらしい作品を書いているという事を

はじめて意識し、そして世界というのは今ここにあるものだけではなくて

いろんな世界があるという世界の広がりと開放感、

人はとても自由だ、という事を感じたのだそうだ。

すごい読書体験だ。さすが作家になる人の感性だと思う。

そして2つ目は、中学生の時にケストナーの作品にはまり、

あまりに好きだったので、英語の先生の協力のもと

ケストナーにお手紙を出し、なんとお返事をもらった!

という驚きのエピソード。

そしてここで、またいいなあ、と思わせられたのが

たかどのさんがケストナーを好きなのは、

友情とか師弟愛とか、いいことを書いているからではないという話。

たかどのさんは、ケストナーのシニカルで、ウィットに富んでいて

叙情的なところがとても好きなのだそう。

そして言われたことには、

作品におけるメッセージというのは1番大事なものではないという事。

作品が魅力的でなければ、たとえそこにメッセージがあったとしても

伝わらない。まずはお話そのものに魅力的な世界が描かれている事が

大事だと言う。なるほど、と思う。

さらに心にとめたい3つ目の話として、

作品の内容だけでなく、本そのものの美しさというものも

大事だと言われたことがある。

それは当時の岩波少年文庫を見て思ったのだそうだ。

さし絵と文章がきちんと合っている。

いい加減に作っていない。

子どものための本にこれだけ力をかけて

キレイな本を作っている大人がいるんだ!

その事が、たかどのさんの大人への信頼を大きく育てたのだそうだ。

そして、そうした信頼感を子どもが持つ事はとても大事なことだといわれた。

初めて聞く視点だけれど、なるほどと納得する。

丁寧な本づくりは、大人への信頼感を育てるのにもつながるのか。

今は、ものすごい早いスパンで、児童書や絵本が作られていくけれど、

見てる子は見てるし、感じている子は感じている。

作り手の方々、どうぞ丁寧で美しい本づくりをお願いします!

そして、そんな早い時期に作家というものに開眼された

たかどのさんだったが、大学に入り文芸部に入ったところで、

あるジレンマに陥る。

「書きたい気持ちはあるのに、書きたいことがない、

何を書いていいのか分からない」

この言葉はこれだけの作家さんでもそんな事を思うのか、と

安心させられた。

飾らない率直な人柄に好感を覚える。

しかしたかどのさんはその後気づく。

何か問題意識がないと書いちゃいけないと思っていたが、

そんな事はないのでは・・・と。

こうした流れを経て、次第にかたち作られていった

たかどのさんの創作の核となったのが、

読者をここではないどこかへ連れて行くという事。

ここではない世界を誰かに書いてもらえると、

人はそのお話を読むことによって、読む以前には存在しなかった

世界に通じることができる。

だから魅力的な世界、摩訶不思議な世界を自分は

作っていけばいいのだ。

そしてさらに、日常生活の中でふと気持ちのいい風が吹いた瞬間や、

なつかしいにおいがした瞬間、それらの一瞬しか味わえないものを、

何とか形にして残したい。永遠のものとしたい。

日常の中に立ち上る非日常的なもの、

ほうっておいたらすぐに消えてしまうそれを、

たかどのさんは、そのしっぽをつかまえて

どんと落とす作業をするのであり、

それがたかどのさんにおける創作なのだという。

この説明は、私にとって非常に分かりやすく、

ああ、そうか、そういう事なのかと胸にストンとおちた。

その他、作品についての話もいろいろ伺えたのだが、

帰る頃には、すっかりたかどのさんが持っている世界、

見ている世界のとりこになってしまった。

ああ、この人は作家さんなのだなあ、と強く実感してしまう。

たかどのさんの視点、記憶力がうらやましくなったので、

しばらく、たかどのさんの本、特に児童文学作品を

たくさん読んでみることにしよう!

ちなみに、今日たかどのさんのお話にもあがり、

私からもおすすめしたい本は、

『わたしたちの帽子』『緑の模様画』『11月の扉』の3冊!

ご興味持たれた方はぜひどうぞ。

※追記:たかどのほうこさんは、漢字で書くと高楼方子と書き、

こちらはペンネームで、方子は本当はまさこなのだそうです。

だから有名な『まあちゃんのながいかみ』の

まあちゃんは、たかどのさんご自身のことなのだそう!

こういう話を聞くとちょっと嬉しくなったりしませんか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

«おこだでませんように